800m2分10秒切り達成報告 |
東京スポーツ祭典
2000.10.8
国立競技場
種目 : 800m 記録 : 2分09秒34(自己新記録)
従来記録 : 2分10秒02 2000.6.18 早大同好会記録会
2組 3/10位
通過ポイント 通過タイム 200mごと 400mごと 200m 30.8 30.8 62.8 400m 1:02.8 32.0 600m 1:35.1 32.3 66.5 800m 2:09.34 34.2
やっと念願の2分10秒突破を達成できた。本当に嬉しい。やはり800mをやっていて自分ぐらいのレベルだと、これを達成することは最終目標に近いのではないだろうか? 6月に2分10秒02という本当に神様の嫌がらせかとも思えるような記録を出してしまっただけに、かえって生涯ベストタイムがこのまま終わってしまうのではという危惧も抱いていただけに、達成できて正直ホッとしているといいう気持ちも強い。
今回のレースに臨むまでの流れは、やはり6月に2分10秒02を出したときの前をかなり参考にした。この時は、レース1週間前までかなり追い込んだ練習をして、疲れたままレース1週間前にトラック練習をしたため、600mなどの記録も当然悪い。しかしその後休養中心でレース数日前には疲れも抜け、レース2日前の会社1/2周というメニューで、2分10秒2というタイムを出せ、本番につなげることができた。ちなみに、この会社1/2周でのタイムというのは本番のタイムとほぼ一致することが多いので、この時のタイムで本番での結果が大体占える。
今回も、そのような流れでいくはずで、ターゲットは10月1日の日体大記録会だったが、予定に反して練習で疲れ切った体の疲労が直前になっても全然抜けてくれず、2日前の会社1/2周でも2分13秒0かかってしまい、結局本番でも2分14秒8などという2分10秒切りには程遠い結果に終わってしまった。次のレースは1週間後、ここで2分10秒を切るためには、この記録を5秒も縮めなければならない。自分のプランでの疲労回復具合が遅れただけで、回復さえしてくれれば狙えるはずだという気持ちはあったものの、実際1週間で5秒縮めるというのは常識的に考えれば大きすぎる。この時点では、1週間後はちょっと諦めの気持ちもあった。しかしその後、今度はうまい具合に疲労が抜けてくれ、2日前の会社1/2周で2分09秒8を出せ、今度は本当に本番でも2分10秒突破の可能性が出てきた。ただ、まだ安心はできない。というのも7月にやはり会社1/2周で2分09秒5ということがあったのに、本番では2分12秒69に終わってしまったことがあったからだ。この時は真夏の猛暑で、しかもレース前45分に200mレースを走ってしまったというのも影響があったかもしれない。今度はレースまでにマイナスになることは除かなければならない。
そして当日、昨年秋から実施しているレース当日早朝の刺激走(1分15秒前後)を今回も実施した。やはりこれをやった方が、記録は良くなっているようだ。ただ、今回気を付けたのは決して全力で走らず、あくまでも8割程度に留めるということだった。この刺激走の目的は、あくまで体に無酸素性の刺激をあらかじめ与えて眠っていた身体を呼び覚ますためで、筋肉にダメージを与えてしまっては逆効果である。そして、次は会場にはいってからのアップだ。早朝の刺激走をやって筋肉に刺激は与えているため、最近はジョッグで体を温めたあと、軽い流しを2〜3本やるという内容だったが、今回は少し変えてみた。それは、6月に自己新を出したときは3時間ぐらい前に100mレースに出ていたので、もしかしたらその速い動きが800mにも役立っていたのではと考えたからである。したがって、今回はスピードがマックスになる80m程のダッシュを3回行った。このダッシュをやる中で、筋肉に抵抗みたいなものが感じられなかった(すなわち疲労がない)ため、かなりの調子の良さが伺えた。ただ、ここでとんだアクシデントが起ってしまった。ひどい下痢になってしまったのである。レース前1時間で5回はトイレへいったであろうか。少々汚い話で恐縮だが、出しても出してもまたすぐに出そうになってしまうのである。最近は、レースやきついスピード練習の前は何度もトイレにいってしまう事が多く、多分心理的なストレスが胃腸に影響しているのかもしれないが、これほどひどいのは初めてである。せっかく調子が良かっただけに、「何てことだ!」と思った。そろそろ現地へ行かないとコール漏れしてレースに出れない。もうレースが終わった後、漏れても仕方ないという開き直った気持ちでレースに向かった。
幸いスタート地点に来てからは、下痢はどうにか収まってくれた。スタートはオープンスタートで、自分の出る2組は10名の出場である。メンバーを見ると高校生や中学生が多く、嫌な予感がした。自分ぐらいのレベルの高校生や中学生というのは、今までの経験からペースがめちゃくちゃで、スタートは速いのにすぐにガタッとペースが落ちるのである。その事を考え、良い位置取りをしようとスタート直後スピードを上げたが、それでも6番手ぐらい。直後は良いペースだったが、心配した通り200m手前で見る見るペースが落ちてきた。早くも呼吸が荒いランナーもいる。前に出るには集団の外側から少し大回りしなければならないので迷ったが、このままじゃまずいと思って先頭に出ることも考えたところ、幸い一般のランナーが先頭に出て引っ張ってくれた。これにまた一般のランナーがついて、自分はその直後3番手につけた。そのままペースは自分にとっては無理なく進んでくれ、先頭から1.5mぐらいの等間隔で1周目を通過した。その時64秒と聞こえたので、ペースは少々遅いのかとその時は思った。いつもはあと300mになってペースを上げようと試みることも多いのだが、前を抜くにはペースも落ちてないので、そのままの流れに任せて3番手をキープする事にした。そのうちあと200m手前になって、2番手と1番手の間が開いてきたのに気付いたので、やはり先頭を追わねばと2番手のランナーを抜こうとしたところ、その2番手のランナーもスピードを上げたので、またそのまま追う事になった。そしてあと150mぐらいになって、今度は自分と2番手のランナーとの差が開いてきて、ラストの直線に入ってからは明らかにスピードが違う。2番手のランナーは今度は先頭に迫っているようである。対してこらはもう目一杯、しかしそれでも前を追う気持ちだけは持ち続け、必死に追った。ラスト20〜30mを過ぎると、もう完全に体が固まってしまうヤバイ状態。いつ止まってもおかしくないという状況だったが、もう強引に脚と腕を動かし、どうにかゴール。その後自分で押したストップウォッチを見てみると、2分09秒26だった。6月のときは自分の時計が2分09秒80で喜んで良いのかどうなのか非常に複雑なタイムで、結局正式結果はあと0.03秒で2分10秒突破を逃してしまったが、今回はこのタイムを見て正式結果でも2分10秒を切ったことを確信した。やはり以前の事もあったので、嬉しいという気持ちよりは安堵の気持ちの方が大きく沸いてきた。正式結果は2分09秒34。ちなみに順位は途中から引っ張った選手がそのままトップで2分06秒30、2位が自分が途中から引き離された選手で、2分06秒73と先頭をかなり追い込んだ。また4位の選手は2分09秒89で、自身初の2分10秒突破を果しただけではなく、2分ヒト桁の選手一人に勝ったことになる。あれだけ2分10秒を切るのに苦労したのに・・・。あと、自分のストップウォッチでは1周目が62秒8と示されていたので、1周目通過時に聞いた64秒という声は後方の選手にかけられたものだったのだろう。ペースは、6月のときと比較すると以下の様になる。
6月 2’10”02 : 29”8 − 32”0 − 32”3 − 35”9 400mごと 61”8 − 68”2
今回 2’09”34 : 30”8 − 32”0 − 32”3 − 34”2 400mごと 62”8 − 66”5よく見てみると200〜600mまでが全く一緒で驚いている。200m通過は6月のときに比べてちょうど1秒遅く、その分ラスト200mは今回も失速したものの、6月の35秒9に対して34秒2と落ち込みをかなり抑えられたのだろう。400mごとで見ると逆に今回のペース配分の良さが分かり易い。今回調子の良さが前提であるが、このペース配分で走れたことが初2分10秒切りを達成できた要因だろう。
余談になるが、実はこの翌日またレース(国士舘大記録会)を走った。昨年2日続けて自己新を出した実績もあったし、1日で調子が落ちるはずがないと考えたからである。当然今回もまた翌日自己新をという目論見だったが、あいにく当日はかなり強い雨、しかも10月だから寒く、体が冷えてしまった。みんな記録をかなり落としているようで、4〜5秒は落ちてるように感じた。そして自分の結果は何と2分16秒4で7秒落ちの今季ワーストというとんでもない結果に終わってしまった。確かに天候に恵まれなかったこともあるが、それでも1日で7秒とは落ち過ぎである。ちなみにこの日も全力を出し尽くしたつもりである。そこで、何でこの2レースでそんなに差が出てしまったか考えてみたのだが、6月のベストのときといい、今回の2分10秒切りのレースといい、ペース自体は自分としては物凄く速いのだが、自分自身は走りに余裕があって、走っている最中前のランナーを抜こうという気持ちすら起きたという共通項がある。それに対してこの翌日のレースでは、スタートから他の選手にかなり前に行かれ、15mほど先の選手をスタート直後から常に追いかける状態で、意識がレース中常に「追いつかなければ」と追いたてられていて、意識に余裕が全くなかった。今までもこの様にスタート直後から常に前を追うレースというのは、物凄く頑張ったつもりの割にはろくな結果が出ていない。自分の走りを映像で見たことがないので分からないが、やはり良い走りをしたときは気持ちの余裕とともに動きが滑らかで、逆に悪いときは気持ちに余裕がないとともに動きも硬くなってしまってるのかなと思った。まあ、映像を見てないのであくまでも推測の話であるが・・・。
自分の中の大目標を達成してしまって800mにおける具体的目標はなくなってしまったが、意外と「燃え尽きた」という気持ちにもなっていないので、まだ今後も頑張れるかもしれない。とりあえず、今後は「絶対に・・・」という気持ちを持たなくて済む分、気楽にやっていけると思う。